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高齢者のリハビリは“結果が出ないから面白くない”? 理学療法士に聞いた違和感の正体とは

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こんにちは!湘南第一病院 採用広報プロジェクト「チームここはじ」の葉山なつです🍀

4月になりましたね。

桜がひらひら散るのを見ながら、きれいだなと思いつつ「もう少し頑張ってほしいな」と密かに応援しています。

新しい季節に合わせて、気持ちも少しだけ整えていきたいですね。

 

さて理学療法士のみなさんは、高齢者のリハビリテーションに、どんなイメージがありますか?

「長期間かかる」
「思うように良くならない」
「やりがいを感じにくい」

そう感じている方も多いのではないでしょうか。

そして実は、この“違和感”には理由があります。

こうしたイメージから、高齢者のリハビリテーションに対しハードルを感じてしまう方が少なくありません

これでは、理学療法士として今後のキャリアや働き方を考えたとき、当院で「働いてみたい」と思ってくださる方々も限定的だと考えました。

 

そこで今回は、当院のリハビリテーションについて、

・なぜ高齢者のリハビリテーションは、結果が出にくく、面白くないと感じるのか?
・当院のリハビリテーション課の考えるその違和感の正体

をお伝えしていきます

 

この記事では次のことがわかります。

・高齢者のリハビリテーションで「思うように良くならない」と感じる理由

・2年目理学療法士の葛藤と成長の実体験

・職員の経験から分析した「高齢者リハビリテーションの構造と評価の捉え方」

・当院にしかできない高齢者リハビリテーションとその魅力

今回もリハビリテーション課の結城リーダーと新卒から入職した2年目の理学療法士の佐藤さんに取材してまいりました🌟

さっそくご紹介していきます。


高齢者医療を続けてきたから見えた構造

さて、前回の記事では、

「急性期未経験でも働けるのか?」という視点から、当院のリハビリテーションの特徴についてお伝えしました。

→【急性期未経験でも大丈夫?理学療法士に聞いたリアルな現場】

今回はもう一歩踏み込んで、実際に現場で働く中で感じやすい“大変さ”や“難しさ”についてお話していきます。

 

理学療法士として働く中で、

 

・結果が出ない

・改善している実感が持てない

・やりがいを感じにくい

・苦手意識を持ってしまう

 

そう感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

当院では新病院になって約10年間高齢者医療に注力してまいりました。

そのなかで理学療法士にとって高齢者のリハビリテーションは、「面白くない」「つらい」と感じやすい構造があることが見えてきました。

今回の記事では、そうした感覚がなぜ生まれるのか、その違和感の正体を実際の現場での経験をもとに整理していきます。


やりがいを感じられない理由とは

原因は「リハビリテーションの成果ややりがいをどこに置くか」にあります。

その背景には、いくつかの要因があります。

 

・これまで学んできた・経験してきたリハビリテーション(学校教育や成功体験)

・要介護高齢者という対象の身体的特性(回復の仕方や変化の出方の違い)

・求められるリハビリテーション(機能回復だけでなく、生活やQOLを支える視点)

・成果や結果が得られる時間軸(入院中だけでは完結しない地域包括という視点)

 

これらの前提の違いが重なることで、

「思ったように結果が出ない」「関わっている意味が分からなくなる」といった感覚につながっていくのではないかと考えられます。


現場で感じた“思っていたリハビリとの違い”とは

では実際に、現場ではどのような場面でそのようなギャップを感じるのでしょうか。

当院に新卒で入職し、現在2年目の理学療法士である佐藤くんに話を聞きました。

「ここでは自分のやりたいリハビリができない」と思った瞬間

佐藤:

当院に入職してまず感じたのは、学生時代に持っていた「急性期病院=どんどん良くなる」というイメージが大きく覆されたことでした。

理学療法士を目指す人は、患者さんをよくしたいという思いを持っていると思います。僕自身もそうで、そこにやりがいを感じていました。

ただ、学んできた知識をそのまま当てはめられるケースはほとんどなく、何を拠り所に考えればよいのか分からなくなりました。

そして、車椅子で退院される方やご自身でできる動作がほとんどないまま退院される方も多いという現実に、入職して比較的早い段階で「ここでは自分のやりたいリハビリテーションはできないのではないか」と感じるようになりました。

またリハビリテーションが入院中だけで完結しないという点も、「よくならない」と感じていた理由の一つだったと思います。要介護高齢者の場合、もともと身体機能や活動性が低下していることが多く、入院時点での予備能力も高くありません。

そのため、重症でなくても急変したり、タイミングを逃すとすぐにADLが低下してしまいますし、入院中に目に見える変化が出ないと、うまくいっていないと感じていました。

今振り返ると、「よくする=入院中に機能を回復させること」と捉えていたのだと思います。

 

転職を本気で考えて見えてきた高齢者リハのやりがい

それらが重なって、転職を本気で考えた時期がありました。

実際に転職活動を進める中で、他の病院のことを知る機会があり、

「当院だからできない」というよりは「どの病院でも同じような難しさがあるのかもしれない」と思うようになりました。

当院でもまだ自分にできることがあるのではないかと気持ちを切り替えてみると、高齢者のリハビリテーションの難しさだけでなく、面白さも見えてくるようになったと感じています。

例えば、生活の基本となる姿勢が整ったり、移動手段が安定したりと、その方の生活の土台につながる変化が見られること。

現在は、褥瘡ケアにも関わっており、多職種と連携しながら、ポジショニングがうまくいったときや創傷の改善が見られたときにやりがいを感じます。

こうした経験を通して、リハビリテーションは「機能回復」だけでなく、「ケア」の視点も含めて捉える必要があると考えるようになりました。

そして病院で行ったリハビリテーションを、退院後の高齢者施設での生活にどうつなげていくかという視点で考えることが重要だと実感しています。


多くのスタッフが感じてきた葛藤とその正体

佐藤が経験し葛藤したように、これまで多くのスタッフも同じような葛藤を抱いていたのだと感じました。

「面白くない」と感じていたものの正体は、
“面白くない”のではなく、“難しい”ということだったのかもしれません。

この感覚は、個人の問題ではなく、ある前提が重なった結果として起きていると考えています。

高齢者リハビリテーションをいくつかの視点で、結城リーダーに聞いてまいりました。

 

■ これまで学んできたリハビリテーションとの違い

結城リーダー:

学校教育では、病期ごとに分けてリハビリテーションを学ぶことが多く、実習でも学びやすいケースに関わることが中心になります。

実際の高齢者のリハビリテーションのように病期が混在しているケースに触れる機会はあまり多くありません。

 

そのため、

・急性期=回復する/リハビリ=機能を改善する

という前提が自然と形成されます。

一方で当院では、急性期・回復期・生活期の要素が混在していますし、他院さんでも病期は混在しやすいのが高齢者のリハビリテーション。

その結果、急性期治療によって状態は改善していても、回復の幅や過程、手段が、教育課程で得た知識や経験とは異なるケースが多くなります。

 

👉 その違いが「うまくいかない」という感覚につながります。

そのため、これまでの知識や体験してきたこととの違いに戸惑うことは自然なことだと思います。

■要介護高齢者という対象の身体的特性の違い

当院は、近隣の高齢者福祉施設の協力医療機関であり入院される患者さんの多くは、施設での生活の中で発症した急性疾患(発熱、食欲不振、浮腫の増悪など)をきっかけに受診されています。

当院の患者さんは、入院前から介護が必要となった障がいがあり、生活のベースが車椅子である方が多くを占めています。

また、人生の最終段階に近い方も少なくありません。

 

そのため、
・急激に改善する/短期間で機能が回復する

という経過を辿らないケースも多くなります。

人生のステージや病状によっては、入院時よりも身体機能が低下して退院される方もいらっしゃいます。

近年は人生の最期まで過ごすことのできる施設も増えており、前提として介護が必要となる方が入所しているため、身体機能が入院前同等にならずとも退院が可能です。

 

👉 身体機能の回復や改善をゴールに設定すれば、

「変化が小さい/現状維持、あるいは低下してしまった」という結果に、「よくなっていない、よくすることができなかった」と落胆しますよね。

■ 求められるリハビリテーションの違い

当院では、急性疾患の治療と並行してリハビリテーションを提供しながら、退院後の生活へ戻ることを見据えた関わりが必要になります。

そして前述の通り、退院後には地域で患者様を「介護」という領域で支えてくれる心強い仲間がいると言えます。

 

そのため、機能回復ももちろん大事な要素にはなり得ますが、

・生活をどう支えるか、その人らしい状態をどう実現、維持するか

に主眼をおいた関わりを持つこと、その過程を地域に繋いでいくリハビリテーションが求められると考えています。

 

👉機能回復に主眼をおくとどうしても叶えられることは、制限されがちです。

当院のリハビリテーションは、「機能回復」ではなく「生活回帰」を目的としています。

ご本人やご家族、ときに施設の職員さんと考える「その人らしい生活」を目的におくことで、リハビリテーションで叶えられる、繋げられる関わりと情報は一気に広がります。

高齢者施設の職員さんからも大変喜ばれているんですよ。

■成果や結果が得られる時間軸の違い

当院では高齢者の特性上、病状の重篤化は長期入院へと繋がり、予後を悪化させることから、

診療の方針として「早期受診・早期退院」を掲げ、適切な診療を受けていただけるよう地域の高齢者施設と日々連携を図っているため、入院期間は比較的短くなります。

 

そのため、

・入院中に成果を出したい

と考えると、叶えられること=得られる成果も限定的になるのは想像に難くないと思います。

 

👉 つまり「入院中に結果が出ない=うまくいっていない」と感じてしまう構造になりがちです。

私達が担っているのは「その方らしさを模索し、生活やケアの方向性を見つけ、次の場で実現に向かって進められるように整えること」と要約できると思います。

仕事の成果が得られるのは、少なくとも「生活の場」に戻ってから。すぐの場合もあれば、長期間かけて成し得る場合もあります。

退院後に他職種や施設の職員さんから「こんな生活を叶えてあげられた」「実はご本人さんにこんな変化があった」

このようなフィードバックがあって初めて、私達のリハビリテーションの結果が得られます。

だからこそ高齢者施設さんとの連携が重要であり、それが私達の考える地域連携の在り方の一つです。

 

■高齢者リハビリに感じる「結果が出ない」4つの構造

高齢者リハビリに対し「結果が出ない」感じるのは、個人の問題ではなく「構造の違い」によるものです。

ここまでの話は、次の4つに整理できます。

・前提(教育・経験からみる概念との違い)
・対象(高齢者という特性)
・ニーズ(その人らしさを模索して整える)
・時間軸(退院後の療養生活を含めた中長期)

私たちのリハビリテーションは、まだ完成されたものではありません。

高齢者医療に向き合う中で、違和感や葛藤はこれからも生まれ続けると思います。

それでも、今回のように一つひとつを言語化し、現場で確かめ、また次に繋げていく。

そうした積み重ねの中で、一人でも多くの理学療法士が高齢者医療にやりがいを持ってチャレンジし続けられる職場をつくっていきたいと考えています。


以上、リハビリテーション課の結城リーダー、佐藤さんに聞いた高齢者リハビリテーションのやりがいについてのインタビューでした。

取材を通して、高齢者領域のニーズは今後さらに高まっていくなかで、これは当院にしかできないリハビリテーションだと、記事作成をしていて誇らしい気持ちになりました。

一方で、本記事ではお伝えしきれませんでしたが、地域の中でリハビリテーションを繋いでいくという地域連携には難しさもあるのだそう。

これも結城リーダーのいう、チャレンジということなのだと感じました。

そこで次回は、地域包括システムからみる当院のリハビリテーションという視点で、地域連携の魅力や難しさの実際についてお伝えしていきます。

リハビリテーション課のこれからの取り組みと、第3弾の記事もお見逃しなく☝

 

■今回ご紹介したライフケア事業部に関する記事はこちら

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