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栄養課特集第4弾!病院と高齢者施設の違い

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こんにちはチームここはじの葉山なつです🍀

お鍋がおいしい季節になりました🍲皆さん今年の初鍋はもうされましたか?

お鍋って美味しいし、野菜もたくさん食べられるし、簡単だし、温かいし・・・一石二鳥どころか一石何鳥もあるな~と思います。

どうしても冬は鍋の日が増えますね!

 

突然ですが、皆さんは病院食について、どのようなイメージがありますか?

 

味が薄い、おいしくない、量が少ない

冷めている、見た目が質素、選ぶことができない

 

ネガティブなイメージが圧倒的である、その厨房では「働いてみたい」と思ってくださる方々も限定的だと考えました。

そこで当院の栄養課について、他業界の方にも興味や関心を持っていただけるよう、発信することを決定!

これぞここはじの使命ですね 逆境こそ燃えるタイプです(笑)

 

さて、本日は栄養課特集第4弾としまして、湘南第一病院と高齢者福祉施設(以下、施設)の違いについてお伝えしていきたいと思います。

 

第1~3弾をまだ見てないという方はこちら⇓⇓

【栄養課特集】これさえ読めば分かる!SDHの栄養課

 

というのも、食事を召し上がるのは、当院も施設も同じ「高齢者」ですが、医療と介護という役割が異なります。

 

今回は事業の役割の違いから、管理栄養士の仕事にどのような違いがあるのか?

食事の役割や栄養管理、他職種連携という視点で、長谷川部長補佐にインタビューしてまいりました🎤

では、早速スタート。とくとご覧あれ!


Q1:食事の役割の違い

葉山:

病院と施設では、「患者」と「利用者・入居者」というように、呼び方から異なりますが、同じ「食事」を提供するという仕事に違いがあるのでしょうか?

 

長谷川:

はい。もちろんです。まず施設という生活の場において、食事の役割は、栄養補給と精神的満足感を得ることです。

例えば、管理栄養士はミールラウンドをしながら「美味しく食べられているか」「楽しい食事になっているか」という観点で評価をしています。

時にはイベント食を企画し、入居者に食事を楽しんでいただく工夫をします。

端的にいうと「利用者の安定した日常生活の提供に寄与する食事」ですね。

 

対して、当院は病院であり、治療の場です。

患者様は何かしら治療を必要とする病気を抱えて入院されます。

つまり、病院での食事の役割は、治療の一環として寄与することです。

 

葉山:

なるほど。食事提供の考え方の違いが見えてきました。

以前にも特集させてもらっていますが、当院は治療の一環という役割も充足しつつ、食事の楽しみも大切にされていますよね。

栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【01】

栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【02】

治療食だけど、美味しさや毎日の活力になる食事を目指した経緯も教えていただけますか?

 

長谷川:

高齢者医療に特化した病院として歩みを始めたのは約10年前。

高齢者についての学びを深めていく過程で、たくさんの気づきがありました。

年齢を重ねるほど、味覚や咀嚼力、嚥下力なども含め、身体機能は徐々に落ちていきます。

つまり、美味しいものや食べたいものを、好きな時に好きなだけ食べられなくなります。

そこで「生命維持を目的とした食事は苦痛が伴うのかもしれない」という仮説を立てました。

例えば、食事が摂れなかったり、栄養状態が悪かったりすると、栄養補助食品を提供しますよね。

そうすると本来の食事が更に摂れなくなることがあります。

結果として、食事から栄養補助食品以外の選択肢が消えてしまうのです。

高齢者の方からしてみれば、それは自分で食べたいものを選択する自由がなくなるということだと考えました。

食べられない理由は、もしかすると嗜好や食形態かもしれない。

個々の嗜好に寄り添うことや楽しんでもらう工夫をすることで、苦痛にならない食事、ひいては楽しみや活力になる食事、これが美味しい病院食だという考えにたどり着きました。

 

葉山:

この10年の間、要介護高齢者の「食」に向き合ってきた結果、今の食事提供に対する考え方が出来上がったということですね。

 

Q2:栄養管理の違い

葉山:

当院は急性期病院であり、毎日10名前後の患者様が退院し、入院されます。

当院のような規模の病院では、比較的入退院が多いと感じますが、栄養管理にはどのような違いがありますか?

 

長谷川:

端的にいうと「時間軸」。業務視点でいうと「スピード感」の違いがあると思います。

詳しく解説させていただきますね。

施設では、「緊急入所」などの役割を担っている施設もあるかと思いますが、予め入所が決まっている場合がほとんどです。

入所までの期間で、嗜好などの情報収集を含めた準備を行い迎え入れることが出来ます。

栄養ケア計画書を作成し、栄養管理を行いつつ食事をストレスなく、楽しく、長期にわたり食べていただく工夫をしていきます。

 

当院は急性期病院であり、多くは予期せぬ入院です。

入院した時をスタートとして、翌日までに栄養管理計画書を作成します。

食事提供は待つことが出来ませんので、スピーディーに情報を集め、食事提供に繋げます。

要介護高齢者は、低栄養やそのリスクが高いため、概ね入院患者全員の栄養管理計画書を作成し、必要に応じて見直します。月換算すると、200~250枚は作成していますね。

褥瘡がある方や食思不振の方もいるので、早期介入のための素早い判断と行動が求められます。

また食事の形態変更等の食事箋については、入院から退院まで何度も変更が発生するケースが多いです。病状が刻一刻変化していく「急性期病院」ならではの仕事だと思います。

 

葉山:

なるほど。確かに施設への入所は予定をして計画的になされますが、病院への入院は〇日後に具合が悪くなって入院しますということにはならないですものね。

 

Q3:他職種連携の違い

葉山:

さて他職種連携という視点では、病院と施設ではやはり役割が違うので共に働く職種、そしてその目的にもの違いがあると思います。具体的に管理栄養士さんの他職種連携ではどのような違いがあるのか教えていただけますか?

 

長谷川:

まず、施設の場合ですが、他職種連携の中心はケアマネージャーになります。

なぜならケアマネージャーがケアプランの作成を行い、介護サービスを利用いただくという構造があるからです。

施設では、介護士をはじめとした、看護師、相談員、栄養士、調理師、機能訓練士などが、生活を援助しながら自立支援を行います。

長期的に生活の質を維持・向上することを目的に、定期的に他職種でカンファレンスを行います。

日々のお仕事では、栄養士とケアマネージャーは同室という環境が多いので、コミュニケーションは円滑だと聞くことが多いです。

 

対して、病院では特定の職種が中心ということはなく、各専門職がその役割を全うし共有していきます。

治療と聞くと医師が中心では?と思った方も多いかと思いますが、退院(生活の場に戻ること)が困難な理由は、病気だけではないからです。

病院では、医師をはじめとした、看護師、看護助手、セラピスト、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、医療ソーシャルワーカーなどが、治療や支援をしていきます。

退院後の生活を見据えた治療や支援の質を向上することを目的に、他職種で行うカンファレンスは、現在準備中ですが管理栄養士も参加していく予定です。

各専門職は各専門職の視点での考えがあり、働くフロアも役割も異なります。

課題はありますが、互いの仕事や役割を理解・尊重し、ユーザー志向・目的志向で意見交換ができる組織を目指し、整備を進めているというのが現在位置です。

 

Q4:魅力について

葉山:

ここまで、様々な観点から違いが見えてきました。

最後に、施設と病院の魅力の違いについて教えてください。

 

長谷川:

施設はなんといっても、生活に根付いた食事提供ができるところだと思います。

長期的に関わることができるため、ちょっとした変化もキャッチし対応できます。

また少しずつその方のことを知り、人生背景に寄り添った食事づくりや関わり、ダイレクトな声(評価)を聞けることも、魅力の一つだとよく聞きます。

 

対して病院の魅力としては、「治療の場」で様々な知識や経験を積むことができる、管理栄養士としてスキルアップができることだと感じています。

そもそも管理栄養士は健康な方に加え、病気を患っている方に対する栄養管理や栄養指導を行うことが役割です。

そのため、治療食の献立作成や食事提供を通して学ぶことは多いです。

一方、栄養と病気の関係性に配慮が必要となるため、考えることが多岐にわたり、それなりの大変さを感じることも多いですが、だからこそやりがいの大きな仕事だと感じます。

 

また直営という視点ではありますが、給食管理に関しても、自分で考えた食事が形となり、仲間とともに提供し、それを喜んでくれる患者さんがいることに面白さがあります。

 

高齢者医療という視点では、他にないからこそ、自分で仕事を創り上げる大変さはありますが、やりたいことを形にすることが出来るという楽しさに繋がっていると感じます。

 

まとめると、

高齢者医療のプロフェッショナルとしてのスキルアップ。

ユーザー志向を前提とした「やりたい食事づくり」を実現できる環境。

患者様や他職種の声を直接聞き評価にやりがいを実感できる環境。

これが当院の魅力です。

 

葉山:

日々進化する栄養課の食事へのこだわりは、大変さを楽しさに変えられる風土が関係しているように感じます。

長谷川部長補佐、本日はありがとうございました。


以上、栄養課長谷川部長補佐へのインタビューでした。

病院と施設では多くの違いがありましたが、病院でも施設でも共通していることは、「様々なことを選べなくなる不自由さ」と向き合っていかなくてはならないことだと感じました。

私達は多くの高齢者の医療や介護をサポートしているが故に「いつか選べなくなるのは当たり前」だと考えてしまいがちだと感じました。

葛藤している患者様、そのご家族のお気持ちに、自身は病院職員として何ができるか、取材を通して深く考えさせられる時間になりました。

 

ちなみに取材中、最期に食べたいものの話でやや脱線(笑)

長谷川部長補佐は、「さっぱりしたお供でお米」が食べたいとのことでした。

 

栄養課の今後の活躍もお見逃しなく☝

 

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