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栄養課特集!直営と委託の違いとは【01】

こんにちは!チームここはじの葉山なつです🍀

毎日暑い日が続いていますが、皆さんは夏バテしていませんか?

夏になると食欲が減るという方も中にはいるのではないでしょうか。

今回は当院の『食』を支える栄養課についてお伝えしていきたいと思います。

 

突然ですが、皆さんは病院食について、どのようなイメージがありますか?

 

味が薄い、おいしくない、量が少ない

冷めている、見た目が質素、選ぶことができない

 

ネガティブなイメージが圧倒的である、その厨房では「働いてみたい」と思ってくださる方々も限定的だと考えました。

そこで当院の栄養課について、他業界の方にも興味や関心を持っていただけるよう、発信することを決定!

これぞここはじの使命ですね 逆境こそ燃えるタイプです(笑)

 

ということで、本日は栄養課特集の第3弾として、引き続き、栄養士の長谷川部長補佐へのインタビュー🎤✨

今回は「栄養課の仕事!直営と委託の違いとは【01】」についてお伝えしていきます。

というのも、当院では栄養課が直営の厨房を管理・運営しています。

 

一般的に直営施設とは、運営施設のスタッフが全ての工程(人材採用・配置、食材調達、調理、配膳、衛生管理など)を行います。

一方、委託給食は、それらの業務を外部の給食会社に委ねています。

近年では、こうした給食業務の70%近くが「委託」で運営されているという調査報告もあるようです。

今回は、「委託」と「一般的な直営」、「当院の直営」の3つの視点にフォーカスして、その違いをお伝えしていきたいと思います。

 

直営の魅力はもちろん、出来ること、身につくスキル、やりがい、苦労まで見どころ満載です。

とくとご覧あれ☝

 

前回までの記事をまだ見ていないよという方はこちらをお見逃しなく。

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Q1:給食管理の違いとは?

葉山:

まずは、給食管理の仕事内容の違いについてお話を伺いたいのですが、いかがでしょうか。

長谷川:

ではまずは委託給食についてお話しましょうか。

委託会社の給食管理は、基本的に委託会社のマニュアルに忠実に仕事をするということが特徴です。

具体的な仕事内容は、委託会社と契約施設の契約内容によって異なりますが、大枠は衛生管理から食材の発注、献立作りも含めた厨房内の業務全般を行います。

それから、契約施設の管理栄養士とのコミュニケーションをとることも仕事の一つです。

 

葉山:

なるほど。マニュアルに忠実に仕事をすることで、一定のクオリティや安全性を保っているということですね。

仕事も覚えやすそうな印象を受けますね。直営の場合はいかがでしょうか。

 

長谷川:

直営の場合は基本的に、自前の厨房を運営するための業務すべてに、管理栄養士が関わります。

(衛生管理から献立作成、発注、仕入れ、調理、配膳、コスト管理、行政のことなど)

当院の直営は特に、大量調理マニュアル等の最低限必要なマニュアル以外はマニュアルに添った仕事がないのが特徴です。

また当院のクオリティを維持するための、「SDHクオリティー」という基準を決めたマニュアルは存在します。

 

葉山:

確かに、以前の特集記事でお話いただいた、当院の食事づくりのスタンスである「患者様に合わせて一人一人の食事を創り上げていくこと」

これをマニュアルにしてしまうと、当院の食事の種類に患者様を当てはめることになってしまうということですね。

 

Q2:食べ手(喫食者)との接触の違いとは?

長谷川:

まずは委託給食の場合ですが、基本的に契約施設の管理栄養士が接触するので、委託会社の職員が食べ手と接触することはありません。

 

葉山:

そうなんですね。ということは契約施設の管理栄養士さんが、ご利用者(患者)と委託会社のハブになっているイメージですね💡

では、直営だといかがでしょうか。

長谷川:

直営の場合、食べ手の状況を直接確認することは、重要なお仕事の1つです。

 

因みに、当院の病棟ラウンドは、次のような理由と目的をもって実施しています。

全員に対して行う理由としては、入院患者様の多くは『要介護高齢者』だからです。

というのも、患者様のなかには意思表示が難しい方もいらっしゃいますし、医療や介護を必要とすることに申し訳なさを感じて遠慮している方が多くいらっしゃいます。

つまり待っていても、情報は入ってきません。そのため、病棟をラウンドして自分の目で、耳で、会話で得ることを実践しています。

 

また前提として入院生活は、患者様にとって体調が悪く、治療をするためにいらっしゃるのでつらい時間ですよね。

だからこそ栄養課では「食事」が楽しみの1つになればという想いで食事づくりに励んでいます。

病棟ラウンドで自分達のつくった食事を患者様がどう受け取ってくださったのか、評価を得て、それがやりがいに繋がればとも考えています。

 

葉山:

なるほど。要介護高齢者ならではということですね。

また患者様から「ごはんが美味しいから退院したくない」というお言葉をいただいたと聞いたことがあります。

そのプロセスには、患者様に合わせて食事をつくり、評価を得て、改善するという1つ1つの丁寧な仕事があるのですね。

要介護高齢者の患者様や他職種とのコミュニケーションをハードルに感じる方もいるかもしれませんが、外部評価なくして、この食事づくりは成り立たないと感じます。

 

 

Q3:内部連携(他職種連携)の違いとは?

長谷川:

委託の場合は、委託会社内での連携が内部連携になります。

つまり、栄養士の視点でいくと、厨房内での調理師との連携ということになりますね。

 

様々な現場を受け持っている委託会社の場合、転職することなく、複数の現場を経験できます。

それぞれの現場で様々な職員さんとの連携を経験できるとも言えますね。

 

葉山:

へえ〜。狭く深いというイメージですね。

では、直営の場合はどうでしょうか?

長谷川:

直営の場合は、栄養課の調理師はもちろん、他部署との連携も内部連携にあたります。

医師や看護師、葉山さんの所属する地域連携部の方たち(医療ソーシャルワーカー)もそうですね。

特に、医師や看護師は患者様と接する時間が多く、患者様の情報を多く持っているので、連携を図る機会が多いです。

なので、それぞれの仕事を知り仕事に応じた連携を図っていますが、時には専門職同士で意見がぶつかり合うこともありますね。

患者様にとってベストかどうかという視点で、コミュニケーションを図っていますが、上手くいかないこともあるのが現状です。

内部連携(他職種との連携)は、直営ならではの難しさがあると考えて、整備を進めています。

 

葉山:

そうなんですね~☆

直営は、広く深い印象を受けますね!様々な職種の方との連携を図るので、連携の範囲はぐっと広がりますよね。

一方で勤務先は変わらないので、他部署の仲間と連携の質を高め続けることができそうですね。

 

 

Q4:外部連携(接触)の違いとは?

長谷川:

委託会社の管理栄養士にとっては、契約施設側の管理栄養士が外部となります。

契約施設の管理栄養士とのやりとり以外には、外部連携はないと言ってよいと思います。

 

葉山:

直営の場合はいかがでしょうか。

 

長谷川:

一般的な直営の病院に関しては、患者様本人へのヒアリングが中心となりますが、ご家族にさせていただくケースもあります。

 

当院の場合は、先ほどのお話の通り多くの患者様が『要介護高齢者』であるので、外部連携は重要度が高く、一般的な直営の病院に比べ多く発生します。

当院の栄養課にとっての外部とは、施設の職員さん(管理栄養士)、ご家族です。

実際には、施設の管理栄養士や家族に食事に関する具体的なヒアリングを行っています。

 

 

Q5:大変さや難しさの違いについて

葉山:

ここまでは、仕事内容の違いをメインにお聞かせいただきました。

最後に、ズバリ「仕事の大変さ」という視点での違いについて、お聞きしてもよろしいでしょうか。

 

長谷川:

まず委託会社の大変さは、マニュアル通りに仕事を遂行しなければならないことかと思います。

マニュアルに沿って業務を行うことができるのは安心できる点でもありますが、マニュアルを順守=仕事の良し悪しになり、大変に感じる方も多いようです。

大変さとは異なりますが、マニュアルから逸脱できない分、やって差し上げたいことができない「葛藤」もあると感じます。

その他、求職者さんから「委託会社と契約施設の方針が違うことで、板挟まれて大変だった」と過去に聞いたことがありました。

あとは、様々な現場を受け持っている委託会社の場合、欠員が出ると当日ヘルプで勤務先の変更が生じることがあるようです。

「勤務先が変わり出勤が大変」「ベテランの現場職員さんと初対面で一緒に働く

 

葉山:

仕事の領域は、直営に比べると限られていること。

詳細なところまでマニュアルがあること。

様々な現場で経験ができることから、新卒や経験歴の浅い方にとってはスタートアップとしては働きやすいのかもしれませんね。

大手の委託会社ですと、教育体制などもしっかりされていると聞きます。

マニュアルの順守というのは、基礎基本を習得だとも感じます。今後のキャリアを広げることにも繋がりそうですね。

では、次に直営の場合はどうでしょうか?

長谷川:

直営の大変さは、ここまでのお話でだいぶ伝わったかと思いますが「仕事が多岐にわたること」

直営の厨房を持つということは、基本的に運営管理者は院長ですが、運営の主体は栄養課です。

前述しましたが、仕入れ業者とのやりとりやコスト管理、献立作成や施設とのやりとりなど様々な業務が必要になります。

 

当院の場合は、『要介護高齢者』を対象としているため、関わる方がとにかく多いです。

 

また長い人生を経ているため、想像の上をいく情報も多くあります。

例えば、禁食対応。当院に入院した場合、施設からの情報提供を看護師が確認し、その禁食対応の情報を元に食事オーダーが飛んできます。

正直『こんなアレルギーあるの~?』というものもあり、管理栄養士がご家族やご施設に直接確認します。

実は、嗜好の問題だった。

乳製品と言っても牛乳だけがダメだった。

本当に初めて出会ったアレルギーだったと様々なパターンがあります。

 

そのひと手間を大切にすることで、1人1人にあった食事をストライクゾーンで提供できるって直営だからこそだなと思うんです。

そのためには管理栄養士として必要な知識も幅広く、勉強すべきことはたくさんあります。

それだけでなく他職種のことを理解することも、決して簡単ではありません。

でもその分、患者様の言葉を形にしてお返しすることが出来る素敵な仕事をしていると実感しています。

 

葉山:

直営は、仕事の領域は広がり、裁量が増えることで難易度もあがる。

その分、大変さとやりがいも比例して大きくなる。そんな印象を受けました。

仕事の領域が広いので、一足飛びに習得はできないと考えると根気強さが求められると感じました。

またその過程では、他職種の職員や外部との連携、食べ手(患者様)との接触に「コミュニケーション」が多く求められるのも特徴でしょうか。

大変と感じるかどうかは、人それぞれかもしませんが、食事づくり(給食管理)・栄養管理といった、形になる・目に見えるものと違う「難しさ」があるのだと考えます。

本日はありがとうございました。


以上、長谷川部長補佐へのインタビュー、「栄養課の仕事!直営と委託の違いとは【01】)」でした!

 

栄養課の仕事といっても委託と直営での違いがあり、当院ならではの違いがあり、驚きの連続でした。

直営の厨房を持っているからこそ、オーダーメイドにこだわった食事を提供でき、患者様に喜んでいただける反面、それを実現させるためには大変さも兼ね備えていることがわかりました。

 

さて、次回は栄養管理や社食、チーム作りや魅力などにフォーカスして、違いを話していきたいと思います。お見逃しなく☝

 

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