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栄養課特集!健康経営に寄与する調理師考案特別メニューとは

こんにちは!チームここはじの葉山なつです🍀

今年も半分があっという間に過ぎてしまいました。

今年やりたいことを完遂すべく今日も葉山は計画を練っています。皆様は残りの半年で何をしますか?

 

突然ですが、皆さんは病院食について、どのようなイメージがありますか?

 

味が薄い、おいしくない、量が少ない

冷めている、見た目が質素、選ぶことができない

 

ネガティブなイメージが圧倒的である、その厨房では「働いてみたい」と思ってくださる方々も限定的だと考えました。

そこで当院の栄養課について、他業界の方にも興味や関心を持っていただけるよう、発信することを決定!

これぞここはじの使命ですね🔥逆境こそ燃えるタイプです(笑)

 

ということで、本日は栄養課特集の第2弾として、栄養士の長谷川部長補佐と調理師の吉田主任へのインタビューをお届けいたします🎤

今回は「調理師考案特別メニュー誕生秘話」についてお伝えしていきたいと思います。

というのも、当院では月に1回、調理師考案特別メニューを社食で提供するという取り組みを行っています。

調理師考案特別メニューがどうやって誕生したのか、その苦労、今後の展望は見どころ満載。とくとご覧あれ☝️

 

前回までの記事をまだ見ていないよという方はこちらをお見逃しなく。

栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【01】

栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【02】

栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【03】


葉山:

現在月に1回、調理師考案メニューを社食で提供するという取り組みが、始まって3年目になると聞いています。

毎月楽しみにしている職員も多いかと思いますが、この調理師考案特別メニューが始まった経緯を教えていただけますか?

 

 

長谷川:

はい。もちろんです。

それまでは「患者様」の食事提供に注力していましたが、調理師考案特別メニューは「働く職員の健康」を食事からサポートしたいと考え、3年前に年度目標に設定しました。

というのも病院事業の継続は、職員が健康であり労働を継続できるから、成り立っていると考えたからです。

 

また以前から社食は提供していましたが、利用しない方も多く、中には毎日コンビニのご飯という方も…

昼の一食だけでも「バランスのとれた食事を摂ってもらいたい」という想いがありました。

 

葉山:

なるほど。職員の健康増進を図るのも栄養課の仕事というわけですね。

ではそこから、特別メニューの提供という発想にいたった経緯についても、お聞かせいただけますか?

 

長谷川:

まずは、普段社食を食べていない人たちは、どうやったら食べてくれるのだろうか?とみんなで話し合いました。

社食を毎日食べてもらうことが目的ではありますが、まずは社食に興味を持ってもらうことが必要。

最終的に、興味を持ってもらうためのアイディアが『調理師考案特別メニュー』でした。

 

葉山:

巷で「管理栄養士監修」はよく聞きますが、当院はなぜ『調理師考案』なのでしょうか?

 

長谷川:

あえて、「調理師考案」にしたのは、栄養課の課題が理由でした。

実は、取り組みが始まる前の調理師は、指示通りのメニューの分量や作り方を、正確に作ることを大切にしていました。

つまり、指示に従い正確さを評価指標とするために、主体性が乏しかったんです。

「調理師考案」にすることで、調理師が自ら考え調理するという過程を経て、主体性を高めることが狙いでした。

調理師と管理栄養士が、役割は違えど対等な関係性で高齢者の食を支えていくには、必要な過程だったと振り返っています。

 

葉山:

そのような意図があったとは驚きでした😲!

取り組みにあたり、チームの苦労や大変だったことなどはありますか?

 

 

長谷川:

スタートを決めたとき、調理師たちはこの提案に関して、意外とすんなりと受け入れてくれました。

しかし、ここからが大変でした。ね!吉田くん!!

 

吉田:

はい…(;’∀’)

今までは、指示書に従い調理していたのですが、1人前の食材の量や分量から考えて作っていくという工程を一から学びました。

メニューはすんなり決まっても、そこから1人分の献立を作っていくのが大変でした。

一皿の彩りや調味料の量、1人前としてお皿にのせる量や頼んでくれる方たちのおなか具合など、考えることがたくさん…

また、最大の難関だったのはスケジュール管理です。

特別メニューの日程は決まっていましたが、その日に合わせて「準備」をするのが大変でした。

献立作成だけでなく、発注やポスター作りなどあれもこれも、初めて挑戦の連続で…

最初は長谷川部長補佐に力を借りながらでした。

 

長谷川:

管理栄養士たちは、いつもやっている内容なので、発注など手伝ってしまえば早いのですが、あえて見守る姿勢をとりました。

内心、ドキドキひやひやしましたが、みんなで協力して毎回何とか間に合わせて提供してくれていましたね。

最初のころは時間の捻出が難しく、時間がないという意見も多くありました。

それでも、どうしたらできるかを皆で考えて、今日も継続できていることは、責任者として嬉しく思っています。

また、提供後は必ず振り返りを行い、次の提供に活かすことを大切にしてきました。

 

葉山:

お話からは、ここでは語り切れない多くの壁をチーム皆で乗り越えてきたことを感じます。

さて始めて3年目となりましたが、変化はありますか?

 

吉田:

普段の調理では、指示書そのままではなく、調味料の量や食材の量などを気にしながら作れるようになりました。

また特別メニューでは、何をやるのにどれくらい時間がかかるかがわかるようになり、スケジュールの型が出来ました。

恐らく、長谷川部長補佐をドキドキひやひやさせることはなくなったと思います…(笑)

 

調理の前の工程を経験し、応用してできるまでになったので、調理師ができる領域が広がったと感じています。

 

長谷川:

うんうん。食事提供までの工程が調理師も含め栄養課全員がわかるようになりました。

工程の全体像が明確になったことで、各々の役割を認識して仕事できるようになったこと、協力性の高まりを感じています。

 

 

葉山:

取り組みを通して、チームが一つになったということですね♪

因みに、特別メニューの提供だけでなく、ラウンジにはポスターやポップが飾られていて、毎月楽しみにしている一人なのですが、これにも狙いがあるのでしょうか?

 

吉田:

ポスターの目的は、調理師考案特別メニューに興味を持ってもらうことです。

ポスターを作成して事前に知ってもらうことで、特別メニューを楽しみにしてくれる人が増える。

またポップは管理栄養士と協働して作っているのですが、メニューの栄養価やレシピ、おいしい食べ方を載せることで、少しでも食に興味を持ってもらい、職員の健康につなげてほしいという狙いがあります。

 

長谷川:

健康経営の観点からも、職員の健康が病院事業の継続に繋がるという考えのもと、少しでも食に興味が湧くように力をいれています。

 

葉山:

さて少し舞台裏にフォーカスしていきたいと思います。

取り組みを通して、栄養課内で意見がぶつかり合うなんていう展開はなかったのでしょうか?

 

長谷川:

私はそういうのがあってもいいと思うんだけどね~!どう?吉田くん!

 

吉田:

基本的にぶつかることはないですね。

良く言えば「お互いを尊重できるチーム」ですが、空気感的には「お先にどうぞ」感もあるので、良い面ばかりではないと思います。

ただ、意見が合った時の盛り上がりはすごいので、それぞれに意思があるということは確かだと思います。

 

長谷川:

前回のメニュー決定時の報告の圧力がすごかったもんね(笑)

 

吉田:

鰯が旬だったこと、以前は夕食のメニューで鰯の蒲焼を出していたのですが、最近出していないことが決め手でした。

昼の社食でも出したいという調理師が多かったですね。

ちなみに、バーニャ風サラダのバーニャカウダもアンチョビ(カタクチイワシ)が入っていてポイントでした。

あえて、イワシづくしにしようという意見も揃ったので、伝える力も強くなったのだと思います。

 

長谷川:

自身は鰯は入荷も不安定だし、鰯の蒲焼にバーニャ風サラダって”イワシにイワシだよ?”という思いもあり、何度かいいの?と聞いたのですが、全く揺らがなかったんです。

皆がそこまで言うなら、私もそれでいこうと、メニュー提供日まで一丸になってやりきったことは、記憶に新しいですね。

 

葉山:

あのメニューも美味しかったです♪実際に、食べた職員からの反響はいかがでしょうか?

 

吉田:

調理師たちも食べた職員から直接声をかけてもらうことが増え、モチベーションにつながっています。

「今日は特別メニューだから頑張ろう」

「社食がおいしかったから午後も仕事を頑張れる」

なんて思ってくれる人もいるようで、僕らの活力になっています。

 

前向きな話を多くしてきましたが、実際のところ患者さんと別ラインで作ることは、大変なことも多いのが現状です。

でも、直接「おいしかったよ」とか「どうやって作るの?家でも作ってみたいんだけど」という声をかけてもらうと、「やってよかった」と嬉しそうな表情を見せるスタッフばかりです。

 

葉山:

大変だからこそ、それを評価してくれた声そのものが、やりがいに繋がっているのですね。

栄養課にとっての「おいしかった」という一言の重みを、今日初めて自覚しました。

最後になりますが栄養課の今後の展望について教えてください。

 

長谷川:

調理師考案特別メニューを始めて3年目。有難いことに、平日の社食の受注数が年々1割ずつ増加しており、少しずつ社食に興味をもってくれている人が増えているのだと実感しています。

 

実は、栄養課が社食に興味を持つ人たちを増やしたい理由は2つあります。

1つ目は、インタビューで話した「職員の健康増進」

もう1つは、「患者様にとっての食事の楽しみを追求する仲間になってほしい」ということです。

なぜなら、病院では患者様の口に食事が運ばれるまでには様々な職種の方たちが関わります。

その職員が食に興味を持ち、栄養課とともに食事の楽しさやおいしさを追求していくことで、患者様への最高の一口につながると思うんです。

つまり、食事が栄養補給としてではなく、人生の彩りの一部となることを目指しています。

この目的を成し遂げるため、今後も地道に食への関心を広げていきます。


以上、長谷川部長補佐と吉田主任へのインタビュー、「調理師考案特別メニュー誕生秘話」でした!

 

取材を通して、美味しい社食には、栄養課職員の思いや苦労がたくさん詰まっていることがわかりました。

また、調理師考案特別メニューが、調理師と職員のコミュニケーションをつくり、最終的には患者様への一口へ繋がるというストーリーは正直驚きました。

誰もが食事提供の最高の一口までバトンをつなぐ1人になれるのではないかと思います。

この先、栄養補給としての食事ではなく、患者様の表情が変わるような食事提供ができるように、わたしも何ができるか考えていきたいと思います。

 

今後の栄養課の活躍もお見逃しなく☝


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