理学療法士の将来性は?超高齢社会で変化するリハビリテーションの価値
2026.04.29
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こんにちは!湘南第一病院 採用広報プロジェクト「チームここはじ」の葉山なつです🍀
走るのが気持ちいい季節になってきましたね。
と思っていたら、もう夏みたいな日差しの日もあって「今年の夏も長そうだな」とちょっと身構えています。
さて理学療法士のみなさんは、リハビリテーションの役割について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
「身体機能を回復させる」
「入院中・外来通院を通して改善を目指す」
こうしたイメージは、これまで学んできた中でも自然と身についている考え方なのではないかと思います。
前回の記事では、実際の現場に立ってみると感じる違和感とその理由を取材を通してお届けしてまいりました。
これまでの採用活動では、こうした私達の高齢者のリハビリテーションに対する姿勢や考え方を多く発信してきましたが、
「自身が思っていた、経験してきたリハビリテーションと違う」と感じる方も多くいるのではないかと考えました。
しかしながら、私達は何か特別なことをしているわけではなく、地域社会から求められるリハビリテーションを考え、言葉にし続けてきただけだと考えています。
つまり「違い」は、リハビリテーションを取り巻く前提そのものが変化してきていることが背景にあると考えました。
そこで今回は、リハビリテーションの役割という視点で「従来と何がどうして違うのか?」という視点から整理していきます。
この記事では次のことがわかります。
・リハビリテーションの役割がどのように変化してきているのか
・超高齢社会におけるリハビリテーションの特徴
・当院におけるリハビリテーションの関わり方
・地域や生活につながるリハビリテーションの考え方

今回は、リハビリテーション課の結城リーダーへのインタビュー内容をもとにご紹介していきます。
なぜ今、リハビリテーションは変わっているのか
従来のリハビリテーションは、「機能をどこまで回復できるか」を中心に捉えられてきました。
入院中の限られた期間で、可動域や筋力、歩行能力などを改善し、その結果を評価する。そうした関わりが主流だったと言えます。
一方で現在は、超高齢社会という背景のもと、国の政策として地域包括ケアシステムの構築が進められています。
地域包括ケアシステムとは、
「高齢者が住み慣れた地域で最期まで生活できるように、医療・介護・生活支援を一体的に提供する仕組み」です。
高齢化の進行により、医療や介護を必要とする期間は長期化し、病院の中だけで支えきることは難しくなりました。
つまり医療は、「病院完結」から「地域で生活を支えるもの」へとシフトしています。
これに伴い、リハビリテーションの役割も大きく変化してきました。
理学療法士として長くご活躍されている方は、ここ数年で高齢者リハビリテーションに関わる比率が増えていることを、肌身で感じているのではないでしょうか。
また、理学療法士の求人も増加しており、高齢者の生活を支えるための「訪問リハビリ」や「入所・通所リハビリテーション」など、活躍の場そのものが広がっています。
その結果として、近年のリハビリテーションは、「機能を戻すこと」だけではなく「生活を取り戻すこと」へと変化してきていると言えます。
当院においても、地域包括ケアシステムの考え方に基づき、10年以上前から高齢者医療に取り組んできました。その延長線上として、2025年に地域包括医療病棟へ病床機能の転換を行っています。
そのため、本記事でご紹介する当院のリハビリテーションも、こうした背景に準じて変化してきたと言えます。
対象の変化とその背景
従来のリハビリテーションは、自立した生活を目指す患者さんを対象に、急性期治療後の機能回復を目指す関わりが中心でした。
一方で現在は、要介護状態にある高齢者が対象となるケースも増えています。
要介護高齢者は、もともとの身体機能や活動性が低く、入院時点での予備能力も高くありません。
そのため、重症でなくても急変したり、わずかなきっかけでADLが低下するなど、「すんなり良くならない」場面が多くなっています。
その背景には、地域包括ケアシステムの進展があります。
高齢者の増加に伴い、要介護状態であっても日常は地域で支え、急性増悪時のみ入院するという流れが一般化したことで、病院で関わる患者像そのものが変化しています。
当院は、近隣の高齢者施設の協力医療機関として、こうした対象と日常的に向き合っています。
そのため、入院患者の多くは施設生活の中で発症した急性疾患をきっかけに受診しており、入院前から介護が必要で、生活のベースが車椅子である方が多いという特徴があります。
理学療法士の仕事の変化とその背景
従来のリハビリテーションは、機能を回復させることが主な役割とされてきました。
可動域の改善や筋力強化、歩行訓練などを通して、どこまで身体機能を高められるか。そうした関わりの中で価値が捉えられてきたと言えます。
一方で現在は、リハビリテーションに求められる役割も変化しています。
機能を回復させること自体が目的ではなく、その機能を「どのように生活の中で活かすか」を考える役割へと変わってきています。
例えば、歩行能力が改善しても生活の中で安全に使えなければ意味を持ちません。
逆に、歩行が難しくても、その方に合った移動手段を整えることで生活を成立させることができます。
このように、機能は手段であり、目的は生活を成立させることへとシフトしています。
そのため、関わる情報も変化しています。従来の身体機能や疾患といった医療情報に加え、
生活環境(住宅構造・導線)・家族の介護力・本人の価値観や生活歴・退院先のサービス状況
といった「生活に関わる情報」を踏まえて関わることが求められています。
さらに、役割は多職種との関係の中でも変化しています。
医療の視点を生活に落とし込み、生活の課題を医療的に捉え直した上で、介護士や看護師など生活を支える職種に共有していく。
こうした「機能を生活にどう活かすかを設計する役割」が、リハビリテーション専門職の価値になっています。
当院では、リハビリテーション課内で「ケアユニット」という、退院後の生活を見据えたチームで関わっています。
コミュニケーターという介護の視点を持つスタッフも在籍し、身体機能だけでなくケアのあり方も含めて検討しています。
また、施設での生活を見据え、姿勢や動作、ケアのしやすさといった観点から関わることで、実際の生活の中で活かされるリハビリテーションを目指しています。
時間軸の変化とその背景
従来のリハビリテーションは、入院中で完結するものとして捉えられてきました。
入院期間の中でどこまで機能を改善できるかを成果とする、明確な時間軸の中で関わることが一般的でした。
一方で現在は、国の方針である在院日数の短縮や地域移行の進展により、入院中だけで回復を完結させることが前提とされにくくなっています。
特に要介護高齢者の場合、回復には時間がかかることも多く、入院中にすべてを改善することは現実的ではありません。
その結果、リハビリテーションは「入院中に良くするもの」から、「退院後の生活の中で回復や維持を続けていくプロセスの一部」へと位置づけが変化しています。
そのため、入院中から退院後を見据え、「誰に」「どのように」引き継ぐかを考えることが重要になります。
当院では、こうした流れを前提に、早期受診・早期退院を重視しています。
入院中で完結させるのではなく、退院後の生活につなげることを前提に関わり、施設スタッフを通じて生活をどう支えるかまでを見据えています。
こうした構造の変化により、入院中の関わりだけでは完結しない難しさも生まれています。

課題の変化とその背景
従来のリハビリテーションは、
「回復を前提とした対象」「機能回復に集中できる役割」「入院中で完結する時間軸」
という構造の中で成り立っており、課題も比較的シンプルでした。
機能をどこまで改善できるか、そのために何を行うか。目標や評価も明確で、成果を実感しやすい環境だったと言えます。
一方で現在は、
「要介護高齢者を中心とした対象」「生活を前提とした関わり」「退院後まで続く時間軸」
という構造へと変化しています。
その結果、関わりの成果がその場で見えにくく、退院後の生活の中でどう活かされているかを把握しづらいという難しさが生まれています。
また、併存疾患や生活背景が複雑に絡み合うことで、「これをやればよくなる」という単純な関わりが成立しにくくなっています。
加えて、生活の場ではリハビリテーションの視点が十分に浸透しておらず、多職種への共有や実践につなげる難しさもあります。
当院も、こうした構造の中でリハビリテーションを提供しています。
そのために、地域連携に注力し、特に高齢者施設との連携を強化しています。
ケアユニット制や、高齢者施設への定期訪問、施設研修などの取り組みも、すべて生活の中で活かされるリハビリテーションにつなげるためのものです。
当院も、刻一刻と変化する超高齢社会に向き合い続けてきた結果として今がありますが、まだまだチャレンジ段階です。
今後、まだまだリハビリテーションも変化していくものだと思います。
決して簡単ではありませんが、変化に向き合い、社会に対応していくからこそやりがいも大きいと感じています。
以上、リハビリテーション課の結城リーダーに聞いた「超高齢社会で変わるリハビリテーションの役割」についてのインタビューでした。
地域連携部に所属していると理学療法士の皆さんが、身体の機能だけでなく、生活をどのように設計するのがよいか日々考え、提案する姿を目の当たりにします。
私自身リハビリテーションは、病院の中で歩く練習をしていたり、足の運動をしていたりと、当院に入職するまではこんなにも生活と近い関わりをする仕事だとは思っていませんでした。
しかし、私がリハビリテーションを知らなかっただけではなく、超高齢社会が進む中で、当院のセラピストが変化する対象者に向き合い続けた結果として、今の形があるのだと感じています。
これからも社会に向き合い続けることで、当院のセラピストは、院内にとどまらず、地域の中でリハビリテーションの価値を発揮していく存在へと、役割はさらに広がっていくと感じました。
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