栄養課特集!高齢者のための美味しい病院食。その魅力と職場とは【01】
2023.09.15
こんにちは!チームここはじの葉山なつです🍀
食欲の秋が近づてきて、すでにフライングしていますが、皆様いかがお過ごしですか?
さて今日はそんな「食」がテーマの記事です。
皆さんは病院食について、どのようなイメージがありますか?
味が薄い、おいしくない、量が少ない
冷めている、見た目が質素、選ぶことができない
ネガティブなイメージが圧倒的である、その厨房では「働いてみたい」と思ってくださる方々も限定的だと考えました。
そこで当院の栄養課について、他業界の方にも興味や関心を持っていただけるよう、発信することを決定!
これぞここはじの使命ですね🔥逆境こそ燃えるタイプです(笑)
ということで、本日は栄養課特集の第一弾として、長谷川部長補佐へのインタビューをお届けいたします🎤
一般的な病院食のイメージを吹き飛ばす、当院栄養課の「美味しい病院食とその職場と仕事の魅力」は見どころ満載。
PART1の今回は、特に他業界(飲食店など)との違いについてフォーカスしました。とくとご覧あれ☝️
葉山:
今回は他業界の方々にも「当院の病院食」について、よく知ってもらいたいと思っています。
始めに、なぜ一般的に「病院食=おいしくない」といわれてしまうのか、その背景についてお聞かせいただけますか?
長谷川:
病院の食事は、皆さんが飲食店でする食事とは大きく異なります。
まず大きな違いは食事内容の選択の可否。
患者様は治療を目的に入院されており、病院食は、治療の一環と捉えています。
そのため栄養バランスや消化の良さ、食べやすさなどが優先されます。
結果として、飲食店では食べる人が好きなもの選べますが、病院では、選べません。
病院食は、病状に合わせた「食事箋」という医師の指示のもと、管理栄養士が献立を考えています。
同じメニューでも、その患者様に合わせた食事を考え、提供する事が大切です。
葉山:
確かに病院は、生活の場ではなく、治療の場ですものね。
「病院食は治療の一環」!理解が深まりました。
当院は高齢者医療に特化した病院ですので、高齢の方ですと特に気を付けるポイントなどもあるのでしょうか?
長谷川:
私達の当たり前は、高齢の方々にとって当たり前ではありません。
例えば、高齢になると飲み込む機能(嚥下機能)が低下する方がいらっしゃいます。
そうなると、私達が食べている食べ物の大きさ、硬さ、状態では飲み込めなくなってしまったり、ムセてしまったり…
そのため「食事形態」を、その患者様に合わせて提供するのがスタンダードです。
この食事形態は、大きく分けると、通常通り「常食」、食べ物の大きさを小さくする「刻み食」、ミキサーにかけたあと成型する「ソフト食」、ミキサーにかけた「ミキサー食」の4つに分かれます。
葉山:
今のお話は他の病院さんでも同じかと思うのですが、当院の病院食は「美味しい」と評判ですよね。
何か工夫をされているのでしょうか?
長谷川:
もちろんです。
いくら治療を目的とした献立だったとしても、食べてもらえなければ意味がありません。
工夫は色々ありますが、「選べない」という視点から回答するなら、患者の嗜好、つまり好みや背景を考慮しています。
イメージを伝えるとしたら、当院の食事の種類に患者様を当てはめるのではなく、患者様に合わせて一人一人の食事を創り上げていくイメージです。
なので当院では、1食あたり70~80食ほどの集団給食を提供していますが、お一人、お一人に合わせて、身体機能やアレルギーは勿論、嗜好に配慮した食事を提供しています。
葉山:
えぇー!!お一人、お一人違うんですか!?衝撃です👀‼
カルテで栄養課さんの情報共有をみたことがありましたが、まさかそこまでとは思ってなかったです。
因みにカルテには「嫌いな食べ物」について書いてあったような気がしますが…?
長谷川:
さすが!よく見てくださってる~!嬉しいです。
当院の食事づくりは情報収集から始まるといっても過言ではありません。
葉山さんがみたのは、過去のデータベースの一部ですね。
そのほか、施設の看護師さんからの情報提供(看護サマリ)、医師の指示、看護師の見立て、嗜好はご本人からの聞き取りはもちろん、ご施設やご家族様にヒアリングを行います。
「その患者様の食事をプロデュースする」これが私達の仕事だと思っています。
葉山:
治療の観点からも最善で、身体機能にも自身の嗜好にも合わせた、料理であり、食事づくり。
ある意味、究極のオーダーメイドな気がしてきました。
病歴や身体機能を評価できる専門職がそろっている、病院という環境だからこそできる食事づくりだと感じますが、その魅力はズバリ?
長谷川:
実は、先ほどの食事のプロデュースは入院時に留まりません。
実際に食事を提供したら栄養課の職員が病棟をラウンドし、患者様の様子やお話、他職種からの意見を聞き、課内で意見交換する時間を設けています。
当院は急性期病院で、比較的入院期間は短いですが、こうした取り組みもあり、1回の入院あたり3‐4回ほど食事内容が変更になります。
つまり課内の職員とも他職種とも関わりながら、改善・工夫し続ける根気が必要です。
その先に「美味しく召し上がっていた」「食事がとれるようになった・進むようになった」などのお声が入ってきて、そして課内で報告する時間は、チームの一体感を感じられるので何より嬉しいです。
また、当院の栄養課が、仕入れから献立作成、食事づくりはもちろん、衛生管理や指導までを行う「直営」だから、ここまでこだわり続けられるというのもポイントですね。
葉山:
話は変わりますが、現在地域連携部では医療のしくみを勉強しておりまして、当院の1食あたりの収入(診療報酬)は640円と学びました。
年々、食材費は高騰し続けていく中で、この金額は20年以上も変わっていないのだとか・・・
こうした「経済的な制限」が、一般的に病院食は美味しくないと言われている原因の1つになっているのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
長谷川:
確かに直営だからこそ自分達で取引先と交渉して、食材を発注しているので、もちろん影響はあります。
ただ食材費は抑えつつも、これまでと同じ味を提供できるように、手間暇をかけることは惜しみません。
例えば、真っ直ぐなきゅうりは調理しやすいのですが、現在は同じ価格で曲がったきゅうりを購入している等ですね。
手間暇がかかろうとも、メーカーや仕入れ先の変更、食材の選定を行って、目的に忠実な食事づくりをしています。
患者様の食事も、職員さんの社食も変わらない価格とクオリティで提供できているのは、メンバーたちの日々の努力のおかげだと誇りに思っています。
こういったところも、面白み・魅力の1つだと、個人的には思いますね。
以上、長谷川部長補佐へのインタビュー、「美味しい病院食とその職場と仕事の魅力」のPART1でした!
他業界とは異なる点が多いですが、作り手である栄養課のみなさんは、他業界の厨房で働くスタッフさんと、「美味しい食事を届けたい、喜んでもらいたい」という気持ちは同じなのだと気づきました。
食事を作る相手が明確で、その人の背景や健康状態に踏み込めるって、病院ならではの凄みじゃないかと思います。
高級料亭の板前さんや、専属のシェフに近いのかな?なんて思いました。
その人にとっておいしい食事であり、健康を維持できる食事づくり、このお仕事のやりがいは非常に大きいのだと、インタビュー中にひしひしと感じました。
私自身MCとしても、勉強になりました。
さて次回は、他の病院さんやご施設さんとの違いにフォーカスしながら、美味しさの秘密とその背景。
魅力と職場に迫っていきます。お見逃しなく☝
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