高齢者の医療、何を知っておけばいい?市民公開講座から学ぶ訪問診療と「人生の最終段階」
2026.09.16
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こんにちは!湘南第一病院 採用広報プロジェクト チームここはじの平塚陸です💨
今回は長嶋副院長の市民公開講座。個人的には“憧れの先生の講演を堂々と仕事として聞ける日”でした(笑)
さてここからは真面目にお届けしますよ‼
突然ですが、みなさん。
「在宅医療」と聞いたら、どこで受ける医療を思い浮かべますか?
僕は「自宅」を思い浮かべる方が多いんじゃないかなと思います。
でも実は、高齢者施設も、その方にとって大切な“暮らしの場”。
そこで訪問診療を受けながら生活することも、在宅医療のひとつです。
9月5日、湘南台市民センターで開催された市民公開講座では、湘南第一病院 副院長の長嶋道貴医師が
「人生最終段階の医療とは~高齢者施設への訪問診療の現場から~」
をテーマにお話ししました。

今回、湘南第一病院に声をかけていただいた理由のひとつも、
在宅医療には自宅だけでなく、高齢者施設という選択肢もあることを、その現場を知る病院から伝えてほしいというものでした。
本記事でわかること
・なぜ今、高齢者の医療について知っておく必要があるの?
・高齢者は、どこで・どんな医療を受けられる?私達と何がちがうの?
・「人生の最終段階」っていつ?そのとき医療はどう考えるの?
・そのときの医療は、誰と考えていくの?
それでは、ここから一緒に長嶋先生のお話をたどってみたいと思います。
01|なぜ今、高齢者の医療について知っておく必要があるの?
日本は、超高齢社会を迎えています。
でも、大事なのは単に「高齢者が増えている」ということだけではありません。
人口構造は、いわゆる“棺桶型”へと着々と変化していて、これからは高齢者を支える世代が少なくなっていきます。

そのうえ、私たちが高齢者の診療に関わるなかで見えてきたのは、一人の高齢者に起こる変化が、その周囲に与える影響はことのほか大きいということでした。

つまり、高齢者医療は高齢者本人だけの話ではありません。
パートナーとして。
兄弟・姉妹として。お子さんとして。友人・知人として。
あるいは、これから自分自身が高齢になっていく立場として。
私たちの多くは、何らかの形でその影響を受ける側にいます。
そして、そのことを実際の診療を通して私たちに教えてくれたのが、日々ともに高齢者を支えているパートナーである高齢者施設の皆さんでした。
だからこそ、何かが起きてから初めて考えるのではなく、高齢者の医療について知っておくことに意味があります。
ただ、ここで知っておきたいのは、医療の専門的な知識や「こうすればいい」という方法ではありません。
高齢者医療をどう捉えるのか。どんな選択肢があり、どんな考え方で向き合っていくのか。
まずは、高齢者施設とも深く関わる「訪問診療」を含め、高齢者がどのようなかたちで医療を受けているのかを見ていきます。
02|高齢者は、どこで医療を受けられるの?
まず、高齢者が医療を受けるかたちは、とてもシンプルです。
自分で医療機関へ通う。
生活している場所に医師が来る。
必要なときには、病院に入院する。
このうち、医師が生活の場へ出向いて診療するのが訪問診療です。
そして、その「生活の場」は自宅だけではありません。
高齢者施設で暮らしている方も、施設で訪問診療を受けることができます。

ただ、同じ訪問診療でも、自宅と高齢者施設では支える人の構成が少し違います。
自宅では、ご本人・ご家族・診療チームが中心になります。
一方、高齢者施設では、そこに日々の生活を支える多くの施設職員が加わります。
多くのスタッフが関わり、医療という面でも安心・安全に診療を受けられる環境があります。
その一方で、ご家族の関わり方は自宅とは異なります。
だからこそ、施設職員、ご家族、医療者それぞれの間に、前提となる信頼関係があることが大切になります。
そして、関わる人が多いからこそ、簡単ではないこともあります。
高齢者施設での医療は、多くの人に支えられる安心がある一方で、多くの人が関わるからこその難しさもある。
在宅医療というと「自宅」を思い浮かべやすいですが、高齢者施設も、その方が暮らしながら医療を受ける場所のひとつだと覚えておいてもらいたいです。
そして高齢者の診療でもうひとつ知っておきたいのが、身体の状態はずっと同じではないということです。
例えば歩行が困難になり、介護が必要になり、食べる量が減る、痩せるといった変化を重ねながら、少しずつ身体の状態が変わっていくことがあります。

では、今回の講座のテーマにもなっている「人生の最終段階」とは、いったいいつなのでしょうか。
03|「人生の最終段階」って、いつ?
「人生の最終段階」と聞くと、亡くなる直前のことを思い浮かべる方もいるかもしれません。
日本老年医学会では、『人生の最終段階』について、次のような考え方が示されています。
①医学的に回復や進行阻止が見込めず死に至ることを避けられない。
②その人の人生として「人生の物語りの最終章を生きている」。
本講座では「最期の時を想像できた、その時から」と表現しました。
身体の状態やこれまでの経過から、この先を想像できるようになったとき。
「どんな医療を受けるか」を、あらためて考える時期が始まります。
では、人生の最終段階では、医療をどのように考えていけばよいのでしょうか。
04|高齢になると、医療はどう変わる?
日本の医療は発達し、できる治療は増えてきました。

「最期の時を想像できた、その時から」
人生の最終段階では、できる治療を全て行うことから、医療にも「手加減」が必要になる時があります。
ここでいう手加減とは、医療を減らしたり、諦めたりすることではありません。
たとえば、1回目の入院と5回目の入院。
同じように治療を受けるとしても、ご本人の身体の状態や、ご本人・ご家族が感じることは同じとは限りません。
そこで考える視点のひとつが、
長く生きること=生命の量
良く生きること=生活の質
たとえば、
続けてきた治療を途中でやめる
ある治療を最初から行わない
治すことよりも、苦痛を和らげることを選ぶ
といった選択です。
つまり、その人にとって今必要な医療を、選び直していくこと。
では、その選び直しを、いつ・どこで・誰と考えていけばいいのでしょうか。
05|そのときの医療は、誰と考えていく?
人生の最終段階は、いつも同じように訪れるわけではありません。
食べる量が減る。
痩せてくる。
そんな変化を重ねながら、少しずつ「その時」を想像できることもあります。
一方で、深夜2時、突然その時が訪れることもある。
だからこそ大切なのは、突然を「想定外」にしないことです。
いつ、どこで、誰と、どんなことを話しておくのか。

そして、ここで強く伝えておきたいことがあります。

その判断を、患者さんやご家族だけに委ねるわけではありません。
医療者も一緒に考える。
患者さんやご家族だけに、判断を背負わせない。
これからのことを考えておくことは大切です。
でも、その答えをひとりで出す必要はありません。
06|まとめ:医療の「手加減」は、減らすことではなく選び直すこと
人生には、医療の「手加減」が必要になる時があります。
でも、それは医療を減らしたり、諦めたりすることではありません。
その時の身体の状態や、これからどう過ごしたいのかに合わせて、今必要な医療を選び直すこと。
そして、その答えを患者さんやご家族だけで背負う必要もありません。
長く生きることと、良く生きること。
その両方を考えながら、本人・家族・医療者で一緒にその時の医療を考えていく。
それも、高齢者医療を捉えるうえで大切な視点のひとつです。
以上、市民公開講座「人生最終段階の医療とは~高齢者施設への訪問診療の現場から~」についてお届けしました。
今回の市民公開講座には、80名もの方にお申し込みいただき、さらに10名のキャンセル待ちがありました。
「人生最終段階の医療」や「訪問診療」というテーマに、それだけ多くの方が関心を寄せてくださったことが、まずとても印象に残っています。
そして、もうひとつ強く残ったのが質疑応答でした。
「今は通院しているけれど、訪問診療に切り替えるにはどうしたらいい?」
「誰に、どんなタイミングで相談したらいい?」
そんな質問が寄せられました。
まだ通院はできている。
でも、この先も同じように通えるとは限らない。
そんな“通院と訪問診療のあいだ”にいる方たちが、地域にはまだまだいるのだと思います。
何らかの形で地域とのつながりはあるはずなのに、次に必要となる支援へうまくつながれていない。
今回の講座を通して、情報を届けることだけではなく、必要な時に、必要な医療や支援へつながっていけることにも、まだ課題があるのだと実感しました。
市民公開講座を開催して終わりではなく、こうして地域の皆さんからいただいた声を、これからの地域との連携にもつなげていきたいと思います。
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